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ケインズ——時代と経済学

吉川洋

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概要

ケインズ経済学の核心を解説。有効需要、乗数効果、流動性の罠、流動性選好、動物的精神、自然利子率、貨幣数量説を論じる。

キー概念(12件)

本書はケインズ経済学の根幹として有効需要原理を位置づけ、古典派経済学の「供給はみずから需要をつくる(セイの法則)」への反論として詳述している。

本書では流動性の罠が、なぜ金融政策だけでは不況を脱せないかを示す概念として取り上げられ、財政政策の必要性を補強する論拠として位置づけられている。

吉川はケインズが乗数理論によって財政政策の有効性に理論的根拠を与えた点を強調し、公共投資による不況脱出のメカニズムとして解説している。

吉川はケインズの利子率理論の核として流動性選好を解説し、利子率が「貨幣を手放す報酬」として決まるという古典派との根本的な対立点を論じている。

本書はアニマルスピリットを、ケインズが経済行動における人間の非合理性・不確実性を重視した証拠として紹介し、行動経済学の先駆けとして評価している。

吉川はケインズ経済学の前提として不確実性を重視し、確率計算不能な世界では人々がアニマルスピリットや流動性選好に頼らざるをえないことを論じている。

本書ではケインズが貨幣数量説の枠組みをいかに乗り越えたかを論じており、貨幣が実物経済に影響を与えるというケインズ的世界観との対比として描かれている。

吉川はケインズ理論の形成を歴史的に追う中で、ウィクセルの自然利子率概念がケインズに与えた影響を論じ、その継承と批判的発展を明らかにしている。

吉川はケインズが非自発的失業の存在を証明したことを、大恐慌という現実に向き合った経済学の転換点として描き、完全雇用均衡を自明視する古典派への批判として論じている。

本書はケインズ理論の政策的含意として財政政策の有効性を論じ、大恐慌からの回復における財政出動の役割を歴史的文脈から評価している。

本書では限界消費性向が乗数効果の基礎として解説され、財政政策の波及メカニズムを説明する鍵概念として位置づけられている。

吉川はケインズの思想的格闘の相手として古典派経済学を詳述し、ケインズが批判・継承・超克した理論的系譜を丁寧に跡付けている。

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