知脈

メンタル・アカウンティング

Mental Accounting心理的会計心の家計簿

CONCEPT → BOOK

この概念を本でたどる

経済は感情で動く』で「メンタル・アカウンティング」を読む

マッテオ・モッテルリーニ

本書では、なぜ人がボーナスと給与を違う感覚で使うのか、なぜギャンブルで勝った金は使いやすいのかを説明する概念として登場。お金の「非代替性」という人間心理を示す。

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お金を同じ財布として扱わない

メンタル・アカウンティング(心の会計)は、同じ金銭でも、収入の種類・使う目的・入手した経路などによって心の中で別の勘定に分け、評価や使い方を変える傾向である。給与は慎重に使うのに、臨時収入やポイントは気軽に使う、といった差を説明する。実際の銀行口座が分かれていなくても、心理的な仕切りが選択を左右する。

取引をまとめるか分けるか

心の会計では、複数の損得を一つの結果としてまとめるか、別々の取引として評価するかが重要になる。小さな得は別々に喜び、損失はまとめて評価して苦痛を和らげる、といった「編集」が考えられてきた。ただし、損得の組合せや参照点によって望ましいまとめ方は変わる。これはプロスペクト理論の価値関数と結びつき、利益と損失の感じ方の非対称性を日常の消費へつなぐ。

「無料」と予算の錯覚

ポイントやクーポンで買う商品を、現金で買う商品より安く感じることがある。しかしポイントにも使い道を選ぶ機会費用があり、財布全体の資源が増えたとは限らない。逆に、旅行用の積立を別に置くことは、目標を守るための有効な仕切りにもなる。メンタル・アカウンティングは常に誤りなのではなく、管理の補助線にも、浪費を正当化する抜け道にもなりうる。

設計に使うときの注意

家計やサービスの設計では、利用者がどの勘定で考えているかを無視すると、同じ価格でも反応が変わる。説明する側は「ポイントだから無料」といった印象を煽るのではなく、現金換算や期限、代替用途を明示したい。支出を分ける場合も、合計額を定期的に見直せば、心の仕切りが全体像を隠すのを防げる。

概念が残す問い

お金を完全に一つの数字へ戻すことが、いつもよいとは限らない。目的別の勘定は、将来の計画を守り、現在の誘惑を遠ざける仕組みにもなる。『経済は感情で動く』の問いは、合理的な予算を立てることだけでなく、どの仕切りが自分の判断を助け、どの仕切りが現実から目をそらさせるかを見分けることにある。

この概念を扱う本(1冊)

経済は感情で動く
経済は感情で動く

マッテオ・モッテルリーニ

70%

本書では、なぜ人がボーナスと給与を違う感覚で使うのか、なぜギャンブルで勝った金は使いやすいのかを説明する概念として登場。お金の「非代替性」という人間心理を示す。

隣の概念から、別の本へ

知脈でいま「メンタル・アカウンティング」に結びついているのは『経済は感情で動く』の1冊です。 ただしこの本のなかで隣り合う概念をたどると、別の本へ出られます。