知脈

感情ヒューリスティック

Affect Heuristic情動ヒューリスティック

CONCEPT → BOOK

この概念を本でたどる

経済は感情で動く』で「感情ヒューリスティック」を読む

マッテオ・モッテルリーニ

本書のタイトル「経済は感情で動く」が直接体現する概念。合理的な計算より感情的な印象が経済行動を左右するという本書の中心テーゼを支える理論的基盤として機能する。

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好き嫌いを判断の近道にする

感情ヒューリスティックは、対象に対して生じた好悪や安心・不安の感覚を、危険性・利益・信頼性など複数の判断の手がかりとして使う傾向である。好きだと感じたものを安全で有益だと見積もり、嫌いだと感じたものを危険で無価値だと見積もりやすい。感情は判断の邪魔になるだけでなく、情報が少ない状況で方針を決める近道にもなる。

感情は一つの信号を兼用する

ある製品を「よい」と感じると、価格も性能も安全性も高く評価しやすい。逆に不安を覚えると、別の側面まで悪く見える。この一貫した評価は、細かな確率計算の代わりに感情を共通の信号として使うことで生じる。広告や政治的なメッセージが、数字より先にイメージを提示するのはこの経路を利用しうるためである。

行動経済学との接点

感情ヒューリスティックは、ヒューリスティック一般と同じく、判断を速くする仕組みと、その条件付きの誤りを同時に扱う。損失を強く嫌う場面ではプロスペクト理論の損失評価とも重なり、印象が数字の読み方を方向づける。だから「感情的な人だけの問題」とは言えず、専門家や熟練者でも影響を受けうる。

感情を分解してみる

一つの好悪をそのまま結論にしないために、判断項目を分解する方法がある。「好きだから安全」と思ったら、安全性のデータ、代替案、損失の大きさを別々に確認する。広告の印象が強い場合は、提示されなかった条件を探す。こうした手順は、確認バイアスが感情に合う情報だけを集めるのを弱める。

概念が残す問い

感情を捨てれば合理的になるわけではない。危険を察知する不安や、他者への共感は、意思決定に必要な価値情報でもある。問題は感情を唯一の証拠にしてしまうことだ。『経済は感情で動く』という題名を、感情を排除できないという諦めではなく、感情が判断の入口に立っていることを確かめる言葉として読むと、概念の役割が見えやすい。

この概念を扱う本(1冊)

経済は感情で動く
経済は感情で動く

マッテオ・モッテルリーニ

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本書のタイトル「経済は感情で動く」が直接体現する概念。合理的な計算より感情的な印象が経済行動を左右するという本書の中心テーゼを支える理論的基盤として機能する。

隣の概念から、別の本へ

知脈でいま「感情ヒューリスティック」に結びついているのは『経済は感情で動く』の1冊です。 ただしこの本のなかで隣り合う概念をたどると、別の本へ出られます。