知脈

ミーム・マシン

スーザン・ブラックモア

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概要

ミーム理論の包括的解説。複製子、遺伝子の乗り物、遺伝子プール、文化の神経的伝達、模倣と学習の進化的基盤、文化進化を探求する。

キー概念(13件)

本書の中心概念。ブラックモアはミームを「模倣によって伝達される情報」と再定義し、脳・言語・自己意識の進化をすべてミーム理論で説明する統一的枠組みを提示する。ドーキンスの原概念をより厳密に発展させた包括的理論として展開される。

ブラックモアはミームの伝達が成立するには「真の模倣」が不可欠と主張し、ヒトの模倣能力の進化的独自性を詳しく論じる。言語・文化・自己意識の発達がすべてこの模倣能力に依存していると議論する。

本書後半の中心テーマ。ブラックモアは仏教哲学や現代の意識研究を参照しながら、自由意志・責任・意識の問題をミーム理論から再解釈する。「自己はミームのための乗り物である」という逆説的結論に至る。

ブラックモアはドーキンスの複製子概念を文化領域に徹底的に適用し、ミームが「真の複製子」として成立する条件を詳細に論じる。ミームが遺伝子の利益と対立する場合があることも示す。

ブラックモアは脳の大型化をミームの感染に適した「ミームマシン」になるための遺伝子選択の結果として解釈する。ミームが遺伝子の利益に反して拡散する事例(避妊・禁欲など)もこの枠組みで論じられる。

ブラックモアは宗教・言語・科学などの大規模な文化現象をミームプレックスとして分析する。自己(セルフ)もまたミームプレックスの一形態であるという本書の核心的主張につながる概念として機能する。

ブラックモアはドーキンスの「利己的遺伝子」論をミームに拡張し、ミームが宿主(ヒト)の利益に反してでも伝達・増殖する例を多数示す。チェーンメール・流行・宗教などが利己的ミームの典型として挙げられる。

ブラックモアはミームの伝達を神経科学・認知科学的基盤から分析し、文化的伝達の忠実度がなぜ遺伝子的伝達より低いのかを論じる。伝達精度の低さがミーム進化の速さと多様性の源泉でもあると指摘する。

ブラックモアは言語をミームの伝達効率を劇的に高めた革命的イノベーションとして位置づけ、言語能力の遺伝子的基盤がミームの選択圧によって形成されたと論じる。言語と利他行動の共進化も検討される。

本書終盤でブラックモアは意識の「ハード問題」に踏み込み、自己が幻想であるならば意識の主体も存在しないという結論を示す。仏教の無我(anatta)概念とミーム理論の接点として論じられる。

ブラックモアは文化進化がダーウィン的アルゴリズムの正当な適用例であることを論証するために、このフレームワークを用いる。ミームが「本物の」複製子であることの根拠として機能する。

ブラックモアは宗教・迷信・呪術などをミームの伝達戦略の観点から解剖し、「なぜ非合理な信念が消えないのか」をミーム選択で説明する。罰の恐怖・コミュニティ形成・ナラティブ力がミームの拡散を助ける機構として分析される。

ブラックモアはミームの伝達が社会的協力を促進する仕組みを論じ、利他行動をミームの感染戦略の側面から再解釈する。ミームと遺伝子が利他行動をめぐって対立・協調する構造が提示される。

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