知脈

絶対時間と絶対空間

absolute time and spaceニュートン的時空

「絶対時間と絶対空間」とは

時間と空間は観察者に依存しない絶対的な枠組みとして存在するというニュートンの形而上学的前提。

別名・関連語としてabsolute time and space、ニュートン的時空とも呼ばれる。

『プリンキピア』における絶対時間と絶対空間

アインシュタインはこの絶対時空を相対性理論で否定したが、プリンキピアではその基盤として機能した。

マッハの一撃が開いた扉

エルンスト・マッハがニュートンの絶対空間概念に向けた批判は、当時の物理学者の多くには哲学的な難癖に見えた。しかしアインシュタインはマッハの著作「力学史」を繰り返し読み、そこから深い啓示を得た。マッハの主張の核心は「観測できない概念に物理的意味を与えるな」というものだった。絶対空間は誰にも測定できない。測定できないのに理論の基礎に置くのは不正直だ——この実証主義的な姿勢が、アインシュタインに特殊相対性理論への道を開いた。「相対的な測定に基づいて物理学を再構築せよ」という方法論上の革命は、ニュートンの絶対時空という形而上学的仮定を廃棄することなしには生まれなかった。

近い概念とのつながり

絶対時間と絶対空間を理解する上で、関連する概念との比較が助けになる。

- [ニュートンの運動三法則](/concepts/%E3%83%8B%E3%83%A5%E3%83%BC%E3%83%88%E3%83%B3%E3%81%AE%E9%81%8B%E5%8B%95%E4%B8%89%E6%B3%95%E5%89%87)—慣性の法則・F=maの法則・作用反作用の法則からなる古典力学の基礎。 - [万有引力の法則](/concepts/%E4%B8%87%E6%9C%89%E5%BC%95%E5%8A%9B%E3%81%AE%E6%B3%95%E5%89%87)—質量を持つすべての物体は互いに引き合い、その引力は質量の積に比例し距離の二乗に反比例するという法則。 - [微積分学](/concepts/%E5%BE%AE%E7%A9%8D%E5%88%86%E5%AD%A6)—連続的な変化を扱う数学。ニュートンは物理学的問題を解くために独自に開発(ライプニッツと独立に)。

この概念をもっと知りたいなら

絶対時間と絶対空間について深く学ぶには、以下の著作が参考になる。

- [『プリンキピア』](/books/プリンキピア) — アイザック・ニュートン 1687年刊「自然哲学の数学的原理」。万有引力の法則・運動の三法則を提唱し、天体の運動から地上の物体の運動まで統一的に説明する力学体系を確立した科学革命の頂点。...

絶対時間と絶対空間の崩壊:マッハの批判から相対性理論へ

ニュートンの絶対時間・絶対空間の概念は、19世紀後半に哲学者・物理学者のエルンスト・マッハから根本的な批判を受けた。マッハは「絶対空間は観測できず、したがって物理的な意味を持たない」と主張した。物体の運動は常に他の物体との関係として測定されるのに、なぜ「何もない絶対的な空間に対する運動」という概念が必要なのかという問いだ。ニュートンの「回転するバケツの実験」(回転する水面が放物面を形成するのは絶対空間に対する回転のせいだ)に対してマッハは「遠くの恒星全体に対する相対的な回転のせいだ」と反論した。

マッハの批判はアインシュタインに深い影響を与えた。アインシュタインはマッハの相対主義的な立場に触発されて特殊相対性理論を構築し、絶対時間と絶対空間を廃棄した。「マッハの原理」(慣性は遠くの物質との相互作用から生まれる)は一般相対性理論に完全には取り込まれなかったが、科学哲学的な批判がどのように科学革命を準備するかを示す歴史的事例だ。

絶対時間と絶対空間はニュートンの運動三法則の概念的前提として機能し、その批判が光速不変の原理に基づく特殊相対性理論への移行を準備した。時空の一体化は絶対時間と絶対空間の廃棄の後に何が生まれたかを示す概念だ。仮説を作らないというニュートンの方法論と、マッハの「検証できない概念は排除すべし」という実証主義はどちらも形而上学的仮説への懐疑を示しながら、異なる科学像を示している。

この概念を扱う本

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この概念を扱う本(1冊)

プリンキピア
プリンキピア

アイザック・ニュートン

85%

アインシュタインはこの絶対時空を相対性理論で否定したが、プリンキピアではその基盤として機能した。