身体化された心
フランシスコ・バレーラ, イーヴァン・トンプソン, エレノア・ロッシュ
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概要
認知科学と仏教哲学を統合した身体化認知の理論書。身体化認知、知覚の閾値、自己組織化、認知と生命の関係、作動的閉鎖性を論じる。
キー概念(13件)
本書の中心テーゼ。認知科学の計算主義・表象主義を批判し、身体を持つ生き物が環境と関わる中で認知が「立ち現れる」という枠組みを提示している。
バレーラらが本書で提唱した中核概念。「世界は心が発見するものではなく、心が行為によって産出するものだ」という主張を、色知覚の実験的事実を手がかりに論じる。
本書では認知と生命の連続性を論じる枠組みとして導入される。細胞が自己の境界を維持する仕組みが、より高次の認知プロセスの原型として位置づけられる。
本書では認知と世界の相互構成関係を説明する哲学的根拠として導入される。エナクションの認識論的立場が、縁起の論理と構造的に一致することが示される。
本書では神経系・免疫系・生命システムに共通する原理として論じられ、表象主義的な「入力→処理→出力」モデルに代わる認知の説明として提示される。
本書全体を通じた批判的軸。著者らは色知覚・視覚・カテゴリー知覚の研究を援用し、あらかじめ与えられた世界の「写し」としての表象という考え方を否定する。
本書ではエナクション理論の具体的根拠として示される。目の動き・身体の運動・環境変化が一体となって知覚経験を産出することが、神経科学の知見から論じられる。
本書では神経ダイナミクスや知覚カテゴリーの形成を説明するために用いられ、認知が「プログラムされた計算」ではなく動的なパターン形成であることを示す。
本書ではロッシュのカラー・カテゴリー研究と接続され、色カテゴリーが「客観的に存在する」でも「主観的に恣意的」でもなく、行為と環境の相互作用から生起することを空の論理で解釈する。
本書では西洋認知科学の二項対立(客観主義vs主観主義)を超える第三の道として中観哲学を位置づけ、エナクション理論の哲学的基盤として精緻に論じる。
本書の終盤で展開される哲学的結論。計算主義的認知科学が前提とする「客観的世界」も、現象学が出発点とする「純粋意識」も、ともに根拠なき幻想であることが示される。
本書では認知科学と仏教哲学を橋渡しする「方法論」として位置づけられる。経験そのものを探求するための道具として、客観的実験と内省実践の統合が提唱される。
本書でエナクション理論の最も具体的な実例として詳細に論じられる。ロッシュの基本色語研究と神経科学の知見を接合し、「色は世界にも心にもあらかじめ存在しない」ことを示す。