コミュニケーション行為の理論
ユルゲン・ハーバーマス
この本のキー概念 13 件と、関連書籍を辿ることができます。
概要
コミュニケーション的合理性の理論。社会システム、道具的理性の批判、一般意志、人民主権、公共圏の構造変容、合理性の多元性。
キー概念(13件)
ハーバーマスが本書で体系化した中核概念であり、社会統合の規範的基盤とされる。言語行為論(オースティン・サール)をマクロ社会理論に組み込む形で展開される。
本書の中心概念。ハーバーマスは近代化を道具的合理性の肥大化として批判的に診断し、コミュニケーション的合理性の回復を近代の未完のプロジェクトとして提示する。
本書第二巻の核心。ハーバーマスは生活世界をコミュニケーション的行為の地平として位置づけ、その再生産が文化的伝達・社会統合・個人化の三領域で行われると論じる。
生活世界と対置される社会の構成契機。市場と国家行政がその代表例とされ、両者がコミュニケーション的合理性を侵食するメカニズムが「生活世界の植民地化」として分析される。
ハーバーマスの近代批判の核心テーゼ。道具的合理性の肥大化が個人の意味喪失・アノミー・心理的疾患などを生み出すと診断し、批判理論の規範的基盤を与える。
コミュニケーション的合理性の対概念として批判的に検討される。ハーバーマスは道具的合理性の肥大化を近代の一面化として診断しつつ、ホルクハイマー・アドルノとは異なり合理性の完全な否定を拒絶する。
本書における言語行為論の再構成の要。ハーバーマスはオースティン・サールの三区分をこの三つの妥当性要求に対応させ、コミュニケーション的合理性の構造を言語実用論的に根拠づける。
コミュニケーション的行為の内在的目的として定義される。ハーバーマスは言語の戦略的・道具的使用を「派生的」とみなし、相互理解志向を言語の本来的様式と位置づける。
コミュニケーション的行為と対比的に定義され、行為理論の類型学の一翼を担う。ハーバーマスは戦略的行為が生活世界の統合には構造的に不十分であると論じる。
本書では直接の主題ではないが、コミュニケーション的合理性の制度的条件として背景に機能する。討議による合意形成の場として民主主義理論と接続される。
ハーバーマスはウェーバーの合理化論を批判的に再読し、一面的な道具的合理化としてではなく、コミュニケーション的合理化の可能性を同時に含む過程として再解釈する。
本書では直接展開されないが、コミュニケーション的合理性と妥当性要求の理論が討議倫理の哲学的基盤となる。規範的正当性をア・プリオリではなく討議の手続きに求める点が特徴。
生活世界の植民地化が引き起こす症候群の一つとして論じられる。ハーバーマスはこれを道具的合理性による文化的再生産の侵食として診断し、コミュニケーション的実践の復権によって対抗を図る。