知脈

幸福の研究

ダニエル・ギルバート

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概要

幸福予測の心理学。幸福、ピーク・エンドの法則、後知恵バイアス、認知バイアス、ヒューリスティックの働き、任意の一貫性を分析する。

キー概念(13件)

本書の中心テーマ。ギルバートは、人間が「今幸せになれること」を選ぼうとするのに、その予測がいかに外れやすいかを豊富な実験データで示す。前頭前野が未来をシミュレートする能力と、その歪みの両面を論じる。

ギルバートが幸福予測の失敗を説明する主要概念。宝くじ当選者も交通事故による下半身麻痺患者も、1年後の幸福度は想定より通常値に近づくという実験結果を用いてインパクト・バイアスを論証する。

本書でギルバートが独自に提唱する概念。人は失敗・喪失・拒絶を予想以上に素早く乗り越えるが、その適応力を予測時に考慮しないため「あの選択をしたら永遠に後悔する」と誤って信じてしまう。

インパクト・バイアスや免疫的無視と密接に絡み合う概念として扱われる。なぜ昇給・結婚・購入した新車が予測ほどの幸福をもたらさないのか、快楽の適応という適応機制から説明される。

幸福予測の誤りを生む根本的なメカニズムとして本書全体を貫く概念。後知恵バイアス・インパクト・バイアス・焦点錯覚などを包括する上位概念として、人間が合理的な幸福選択をできない理由の枠組みを提供する。

ギルバートは冒頭で前頭前野の進化的役割を神経科学的視点から解説し、「なぜ人間は幸福を追い求めるのに失敗するのか」という問いの生物学的基盤として位置づける。未来予測能力が同時に系統的誤りの源泉でもあることを示す。

ギルバートは過去の体験の記憶がいかに歪んで現在の幸福予測に影響するかを説明する際に引用する。人は体験の「持続時間」をほぼ無視してピークと終わりで判断するため、幸福の回想が将来の選択を誤らせる。

本書終盤でギルバートが提案する「幸福予測精度を上げる方法」。自分が宝くじに当たったらどう感じるかを想像するより、実際の当選者に聞く方が正確だと論じ、なぜ人々がこの有効な方法を嫌うかも考察する。

ギルバートは、人が将来の状況(高収入・有名大学合格など)を想像する際に、その一点だけに焦点を当てて全体の幸福への影響を誇大視するメカニズムを説明するために使用する。

ギルバートは、幸福予測における直感的判断がヒューリスティックに依存していることを示す。過去の感情記憶をそのまま将来予測に流用する「代表性ヒューリスティック」などが幸福予測の歪みを生む仕組みを論じる。

ギルバートは、過去の幸福体験の記憶が後知恵で美化・歪曲されることで、将来の選択への教訓にならないメカニズムを説明するために用いる。経験から学べないことの一因として位置づける。

幸福感の源泉をどこに帰属するかという問題として扱われる。過去の幸福体験を正確に記憶していても、その幸福感の原因解釈が誤っている場合、将来の選択に誤った指針を与えることをギルバートは論じる。

ギルバートは幸福の比較基準がいかに恣意的なアンカーに依存しているかを示すために援用する。幸福とは絶対値ではなく比較によって生まれるものであり、その比較基準自体が偶然や文脈によって決まることを論じる。

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