哲学入門
バートランド・ラッセル
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概要
哲学の基本問題を論じる入門書。ア・プリオリな認識、帰納法、演繹法、批判的思考、現象と物自体、純粋経験の構造を論じる。
キー概念(12件)
ラッセルはこの区分を用いて、私たちが物質・他者・過去について何を知りうるかの限界を分析する。直接知識の範囲を厳密に画定することで、哲学的問題の多くが認識論的構造として再定式化される。
ラッセルは帰納法や感覚的経験の限界を論じたうえで、ア・プリオリな認識の確実性と普遍性を擁護する。論理的・数学的真理がいかにして経験を超えた確実性をもつかを中心テーマの一つとして扱う。
ラッセルは本書でこの概念を分析の起点とし、私たちが「直接知る」のは感覚データであって机や椅子といった物体ではないと論じる。感覚データから物質的世界の存在をいかに推論するかが議論の核心となる。
ラッセルは帰納法の原理を哲学の根本問題の一つとして取り上げ、経験だけでは帰納法を正当化できないという循環論法の問題を丁寧に論じる。科学的認識の基盤そのものへの批判的検討として機能する。
ラッセルは本書冒頭から「机は本当に存在するか」という素朴な問いを立て、感覚データから物質の存在を推論することの難しさを論じる。物質の存在を否定する観念論を批判的に検討しつつ、外的世界の実在を擁護する立場をとる。
ラッセルは感覚データと物質的対象の関係を論じる際にこの区別を援用し、私たちが直接知覚するのは感覚データであり、その背後の物体の本性は原理的に不確かだという認識論的問題を提示する。
ラッセルは普遍者の実在を認め、数学や論理の真理がア・プリオリに認識できる根拠として普遍者を位置づける。個物と普遍者の関係を論じることで、プラトンのイデア論との連続性も示される。
ラッセルはバークリーの観念論を詳細に検討し、感覚データが心に依存するとしても物質的世界の実在を否定する根拠にはならないと論じることで、常識的実在論の立場を哲学的に擁護しようとする。
ラッセルは本書後半で真理の本性を論じ、対応説(真理は事実との対応)を支持しつつ、信念・命題・事実の三者関係を分析する。真理の客観性を確保することが哲学の課題として位置づけられる。
ラッセルは帰納法との対比で演繹を論じ、論理的・数学的知識が演繹によって成立する一方、経験的知識は帰納に依拠せざるをえないという認識論的非対称性を明確にする。
ラッセルは本書全体を通じて、日常的な確信(机の存在・帰納の正当性など)を哲学的に問い直す姿勢を実践する。哲学の価値は確実な答えを与えることよりも、問いを鋭くし思考の自由を拡張することにあると主張する。
ラッセルはア・プリオリな知識の基盤として直観知を位置づけ、誰もが疑いえないと感じる論理的・数学的命題がいかにして知識体系を支えるかを論じる。直観知の限界と信頼性も検討対象となる。